新型コロナウイルスの影響であらゆる業界で非対面・自動化の需要が高まっていると言われています。コロナ禍において製造業でも人との距離が近いライン作業などで、感染リスクが高いのではないかと心配になった方も多いのではないでしょうか。
元々製造業では、人手不足や高齢化に伴い製造の自動化が必要と言われてきました。加えて新型コロナウイルスの影響も相まって、今まで以上に製造業の自動化の必要性が考えられるようになりました。
今回は、製造業における自動化についてお伝えします。
コロナの影響を受けた製造業
新型コロナウイルスの影響は、製造業に大きな影響を与えました。
経済産業省は、新型コロナウイルスの国内製造業への影響を下記3つのフェーズにまとめています。(2020年6月発表)
- 中国のサプライチェーン分断に対する供給問題(2月~)
- 欧州、米国のロックダウンによる海外需要喪失(3月中旬~)
- 自動車産業の生産減の影響から部品・素材産業への影響拡大(4月~)
(出典:経済産業省「製造業を巡る動向と今後の課題」)
上記のように新型コロナウイルスの影響により人が動けなくなり、各国・各業界の生産・製造が停止しました。2020年2月以降、中国からの部品の供給が止まり、多くの工場が生産数の減少・生産停止に。一時期は製造の求人数も少なくなりました。
さらに緊急事態宣言で、従業員の安全確保のため、工場を閉鎖または稼働人数を減らす企業もありました。
いまは多くの会社が社内の感染症対策を定めたことにより、工場の稼働もコロナ以前に戻った企業も多いでしょう。
ロボット導入や自動化が加速する予想がなされる理由とは?
日本は従来「現場が強い」と言われてきました。しかし高度成長期のときと違い今の日本の製造現場は、下記のような様々な問題を抱えています。
- 働き手の不足・高齢化
- 長年蓄積された技術・知識が必要
- 設備の老朽化 など
この問題は、受発注ー生産管理ー生産ー流通・販売の連鎖である「サプライチェーン」、画研究ー製品設計ー工程設計ー生産などの連鎖である「エンジニアリングチェーン」に大きく影響します。
さらにコロナ禍で従業員の「健康と安全を守る」という新しい問題も加わりました。
しかし働き手や技術・知識の不足といった問題は、自動化により解消・軽減されると期待されています。
元々製造業は人手不足問題などもあり、自動化の必要性が示唆されていました。しかし今回のコロナ禍をきっかけに自動化に対する必要性・理解度が高まり、今後は自動化・デジタル化に向けた動きが加速すると予想されます。
(出典:経済産業省「製造業を巡る動向と今後の課題」、オートメーション新聞「デジタル化&自動化へ加速、コロナ禍で見えた必要性」)
自動化のメリット
データの活用
人の手で管理・統計を取られていたデータが、ITとの連動によって自動でデータ採集を行うことができるようになります。
今まで人の経験やノウハウで感覚的に判断されてきた物事が適切なデータ管理・分析によって、数字や実績に基づいた判断をすることができるようになります。
またデータの活用は現場だけではなく、時には経営判断といった会社として大きな決断をする時にも効果的と言われています。現場で業務をしていないでも、数値やデータがあれば状況を理解できるからです。
生産性・品質の向上
機械が自動で製造を行うことで、人の手作業による、ムダ・ムラ・ミスがなくなります。さらには、人の雇用にかかる手間や費用を削減することができます。さらに、時間や在庫など管理が機械に一任され、設備の管理・状況把握の省力化にも繋がります。
育成への対応
商品の製造には熟練の技能士でしか対応できない高度な技術が必要になることがあります。近年では次の担い手不足・継承するために費やす時間の長さがネックになり、次世代に技能継承ができない悩みを抱えている業界・企業もあります。
製造業の自動化が進むことで、高い技術・蓄積されたノウハウをデータ化し機械が担うことで上記のような問題が解消されると期待されています。
従業員の安全性の確保
「従業員の安全性確保」という観点でも、工場自動化の必要性を後押ししています。
製造の1プロセスを自動化するだけでも、現場の人数をこれまでよりも少なくできるでしょう。それに伴い、今のような感染症対策が必要な場合でも、従業員同士適切な距離を保ちながら作業を進めることができます。
さらに、危険な作業を自動化することにより、危険度の高い作業を人から機械へ移行することができると考えられています。
(出典:経済産業省「ものづくりスマート化ロードマップ調査」)
近年では単純作業の自動化のみならず、今まではヒトが実施することが当たり前だった高度で複雑な処理も機械が対応できるようになると注目が集まっています。
省力化とともに品質を向上させる自動化の動きは、日本でも必要性が高まりつつあります。自動化の動きは近い将来、製造業のみならずあらゆる業界で目にすることとなるでしょう。
まとめ
加速する?製造業の自動化について
今は新型コロナウイルスも影響して製造の自動化が注目されています。
経済産業省発表のものづくりスマート化ロードマップ調査では「今後はグローバル競争力の強化に向けても、ものづくりのスマート化を先んじて実現することが重要と考えられる。」と記されており、このことからも製造業の自動化は重要と考えられており、自動化の動きは高まっていくでしょう。
スマート工場のような、全オート工場中心となる製造業はまだまだ先かもしれません。しかし日本ならではのモノづくりと自動化が融合した、新しいスマート工場の出現は始まっています。例えば日本の職人が持つ熟練した技術のデジタル化などが例として挙げられます。