製造業と言えば、生産コストを抑えるために人件費が安い海外に生産拠点を置いているイメージをお持ちの方も多いかと思います。
しかし近年大手企業を中心に生産拠点を国内に置く企業が増えているのはご存知でしょうか。
経済産業省のアンケート調査では、「海外で生産していた製品・部材を国内生産に戻したケースはあるか？」という質問に対して「ある」と回答した企業は2016年の調査では11.8%、2018年では14.3%と若干増加しています。
さらに経済産業省の発表では、国製造業の国内回帰の状況について「生産を国内に回帰させる動きが継続していることがうかがえる。」との報告もあります。
今回は日本の製造業における国内回帰の実態についてお伝えします。
（参考資料：経済産業省「製造業を巡る現状と政策課題～Connected Industriesの深化～ 」「第2節 国内拠点の強じん化に向けて」）
なぜ国内回帰が増えているの？
まずは、なぜ国内に生産の拠点を戻す国内回帰が増えているのかお伝えします。
国内回帰を行う理由はいくつかありますが、一番の理由は「グローバル最適地生産」が重要視されるようになったからと言われています。
グローバル最適地生産とは、グローバルな需要と立地環境に合わせて世界各地に生産拠点を配置すること。
単に目先の生産コストを下げるために生産単価が安い国で生産を行うのを止め、全体最適を見た上で海外で行っていた生産を国内（もしくは別の国）に移管するようになりました。
（出典：経済産業省「 国内拠点の強じん化に向けて 」）
国内回帰のメリット
ワンストップ管理
国内に生産拠点を移すことで国内の研究開発機関と連動し、研究から開発、生産までをワンストップで管理できるようになります。
さらに本社とスムーズに連携ができるので、本社と工場（現場）が一体となり生産効率や品質を向上させることができるようになると期待されています。
リードタイムの短縮
多くの製品はいくつかの工場で部品を製造します。製品を作るにあたり、関連する企業や工場とと距離が近いと、材料入手などの時間を短縮することができます。その結果、受注から生産までの時間（リードタイム）を短縮することができ、競合企業に対して優位に立つことが可能になります。
このようなメリットを見据え、日本では資生堂やマツダ、日清食品などの大手企業が日本に新しく生産拠点を構え、移管する動きがみられています。
（参考資料：株式会社資生堂「2019-2 資生堂、新工場を福岡県久留米市に建設」,Yahoo!ニュース「マツダ、生産の一部をタイから国内に切り換え 日本の賃金が相対的に低下」,食品産業新聞社「日清食品の「次世代型スマートファクトリー」関西工場が第2期操業開始」）
「メイド・イン・ジャパン」の価値
また近年のインバウンド需要の向上も少なからず国内回帰が増えた要因の1つになっているようです。訪日外国人が日本で買い物をする理由は、「メイドインジャパン」の製品を購入したいから。信頼性や安心感が高いという認識が全世界で評価されており、多少価格が高くても、日本製であることが購入の決定要因になっているようです。
（参考資料：内閣府「今後のインバウンド需要拡大への展望」,日本政府観光局「訪日外客数（2019 年 12 月および年間推計値）」,経済産業省「国内拠点の強じん化に向けて」）
まとめ
国内回帰するメーカーや企業が増えているって本当ですか？
経済産業省のアンケート調査では、「海外で生産していた製品・部材を国内生産に戻したケースはあるか？」という質問に対して「ある」と回答した企業は2016年の調査では11.8%、2018年では14.3%と若干増加しています。
国内回帰を行うメリットは下記の通り。
- ワンストップ管理
- リードタイムの短縮
- 良質な労働力の確保ができる
さらに国内に生産拠点を置くことで、地方の土地を活用に繋がり、求人が増えるなど、私たちにも様々な恩恵が生まれる可能性があります。
製造の拠点を日本に置く国内回帰の動きは、日本の製造業がさらに発展し、地方の経済が潤う可能性を秘めていると言えるかもしれません！
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