日本は世界でも珍しい、「国民皆保険制度」を実施しています。国民皆保険制度とは、全ての日本国民が日本全国にある、どの病院でも同じ医療費で医療が受けられる制度のこと。
世界においては、多くの国民が無保険の状態という国も少なくありません。また発展途上国のみならず、先進国の中でも公的な医療機関が整っていない国もあります。
世界に誇れるトップレベルの日本の保険制度。この記事では知っておきたい保険の基礎知識として「社会保険」と「国民健康保険」の違いをお伝えします!
※2024年7月時点での情報をもとに作成しております
「社会保険」と「国民健康保険」とは?
最初に社会保険と国民健康保険について、簡単に説明します。
社会保険
主に企業でお勤めする正社員や、一定の条件を満たした非正規社員(パートや派遣社員、契約社員など)は、勤め先の会社を通じて全国健康保険協会や各健康保険組合が運営している社会保険に加入します。
社会保険の中には、主に次の4つの保険や制度が含まれています。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 介護保険
次に紹介する国民健康保険は、被保険者本人が保険料を全額負担します。一方社会保険は、保険料の半分を勤め先の会社が負担してくれます。また社会保険には、国民健康保険にはない扶養制度が設けられており、所得額の少ない家族を自分の扶養者として健康保険に加入させることができます。
出典:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象が広がっています。」
国民健康保険
国民健康保険は会社の社会保険に加入している方や、生活保護を受けている方以外全員加入しなければなりません。退職などで社会保険から外れる場合、お住まいの市区町村の窓口で国民健康保険に加入する手続きが必要です。
退職したまま、国民健康保険の加入手続きをしなかったとしても、保険料を遡って納める必要があります。手続きをしていない期間は無保険状態になるため、その間受診や薬代などの医療費は全額自己負担となるケースもあります。そのため、特に退職に伴い社会保険から外れる場合は、手続きを忘れてないよう気を付けてくださいね。
出典:公益社団法人 国民健康保険中央会「国民健康保険(国保)のしくみ」

「社会保険」と「国民健康保険」の違いについて
社会保険の健康保険(以下「社会保険」として紹介)と国民健康保険、どちらも病院での自己負担割合は同じ。しかし、補助の内容や保険料免除の制度など異なる点もあります。そのため双方の違いをきちんと理解しておくことをおすすめします。
大きな違いは下記の4つ。
1.配偶者や親を扶養に入れられるか否か
社会保険は3親等以内かつ条件を満たす者であれば、被保険者の扶養に入ることができます。しかし国民健康保険は、社会保険と同様の条件を満たしていても被保険者の扶養に入ることはできません。国民健康保険には扶養という概念がないからです。
出典:全国健康保険協会「被扶養者とは?」
2.加入する保険団体
社会保険は全国健康保険協会や会社の健康保険組合に加入しますが、国民健康保険の場合は都道府県及び市町村が保険者となり運営をしています。
3.保険料
社会保険の場合、基本給や通勤手当、残業手当、住宅手当などの収入と被保険者の年齢をもとに金額が算出されます。また支払い金額は、勤め先の会社と半額ずつ負担をします。一方、国民健康保険の保険料は下記3つを合わせた金額によって決定されます。
- 医療給付費分(被保険者全員が対象)
国民健康保険の加入者の医療費の財源となる保険料 - 後期高齢者支援金分(被保険者全員が対象)
後期高齢者医療制度を支援することを目的とした保険料 - 介護納付金分(40歳から64歳までの方が対象)
介護保険の第2号被保険者(40歳から64歳までの方)に賦課される保険料
保険料の詳しい算出方法は、各自治体のコーポレートサイトに記載されています。そのため国民健康保険に加入している方や加入予定の方は、どのような計算に基づいて保険料が算出されるのか、確認してみるのも良いかもしれませんね。
出典:東大阪市「国民健康保険料の決め方」
4.保障制度
先ほどもお伝えした通り、社会保険には健康保険の他に、厚生年金、雇用保、介護保険が含まれています。万が一の時の保障や自己負担額、将来もらえる年金の額が社会保険と国民健康保険で違うことを覚えておきましょう。
保険における入社・退社時の注意点
社会保険と国民健康保険は、それぞれ重複して加入することができません。そのため就職や退職の際は、手続きがスムーズに進むように保険の切り替え方法を理解しておきましょう。
国民健康保険から社会保険に切り替える場合
新しい職場で社会保険加入が認められたタイミングで、お住まいの市区町村の窓口で脱退の手続きをしましょう。手続きは早めの対応を心掛けるようにしてくださいね。国民健康保険の脱退する届け出が遅れると、国民健康保険の資格がないのに離職中に利用していた国民健康保険制度を利用して病院にかかることになります。そのため、国民健康保険が支払った医療費を後で返金することになります。
社会保険への加入は会社が手続きを担ってくれるため、会社の指示に従い必要書類を提出してくださいね。
社会保険から国民健康保険に切り替える場合
社会保険脱退の場合、社会保険の資格喪失届の提出は会社が代行してくれます。しかし国民健康保険の加入は自分で対応しなければならないので、忘れず早めに対応しましょう。多くの自治体は、退職後14日以内に窓口で加入の手続きを推奨しています。国民健康保険の加入の手続きにおいて不明な点があれば、お住まいの自治体へ問い合わせてくださいね。
加えて、社会保険から国民健康保険に切り替える場合は「任意継続」にも気を付けましょう。
会社を退職した後、2年間に限り国民健康保険と会社の社会保険(任意継続)、どちらに加入するかを選ぶことができます。そのため社会保険から国民健康保険に切り替える場合は、家族が扶養に入れなくなる点なども踏まえ、社会保険を継続するのか国民健康保険に加入するのか、しっかり検討をした上で加入する保険を選ぶようにしましょう。

出典:
大阪市「就職・退職に伴う国民健康保険の手続き」
全国健康保険協会「任意継続被保険者となるための要件」
まとめ
今更聞けない!「社会保険」と「国民健康保険」の違いを教えて下さい
社会保険と国民健康保険の大きな違いは下記の4つ。
- 配偶者や親を扶養に入れられるか否か
- 保険加入団体
- 保険料
- 保障制度
日本は世界でも珍しい国民皆保険制度を採用しています。そのため、日本国民は社会保険もしくは国民健康保険のいずれかの加入が必須。ただなんとなく加入するのではなく、それぞれの違いや制度についてしっかり理解を深め、自分や家族にとってベストな選択ができるようにしておきましょう。

当社ではWeb面談だけで派遣登録もできるので、ぜひご検討ください。
