ここ数年でよく聞くようになった「IoT(アイオーティー)」という言葉。IoTは、「Internet of Things(モノのインターネット)」の略語です。
言葉は知っているけど、具体的にどういう意味なのか、知らない方もいらっしゃるかと思います。
モノづくりの業界も含め、多くの業界で注目されているIoT。
今回はIoTの意味と製造業にどう関係するのかをお伝えします。
IoTとは
IT用語辞典では、IoTについて下記のような説明が記載されています。
IoTとは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
(出典:e-Words )
これまでは人がインターネットを利用して情報を送受信することで私たちの暮らしや産業が成り立っていました。
一方でIoTとは、モノをインターネットに接続することで、人ではなくモノが情報を送受信できるようにする技術のことです。IoTを導入することで、新たな価値やサービスの創出が期待されています。
厚生労働省のサイトに記載されている、IoTの推進事業モデルの例をご紹介します。
水道事業におけるIoT活用推進モデル事業
水道事業は、現在下記のようなさまざまな課題に直面しています。
- 人口減少に伴う水需要の減少
- 施設の老朽化
- 職員数の減少
- 点検・維持管理に費やす時間と費用
- 地理的条件の厳しい地域にある水道施設の維持管理費用 など
加えて災害時には漏水箇所の特定に時間を要するといった、緊急時の迅速な復旧など様々な課題が山積みになっています。
IoT活用推進モデル事業では、IoTを活用し、下記のような改善や付加効果が期待されるだけではなく、水道事業の運営基盤強化につながるものと考えられます。
- 自動検針や漏水の早期発見といった業務の効率化
- ビッグデータの収集・解析による配水の最適化
- 故障予知診断など
(出典:厚生労働省「水道事業におけるIoT活用推進モデル事業(平成30年度より) 」)
このように私たちの生活に関わる事業にも、IoT技術の導入が進んでいます。
IoT化が製造現場にもたらすメリット
製造現場のIoTは「IIoT」(Industrial Internet of Thingsの略)と呼ばれています。
Industrial IoTと表されることもあり、「製造業における、モノのインターネット」を意味しています。
IIoT化が進むと、あらゆる工場の機械や装置、またヒトの動きなど、モノやコトの状況(生産の進捗など)やデータがインターネット上に集約されます。集約されたデータを分析することで、現状を見える化ができます。
その結果、事前にミスやトラブルを防止し、効率的な生産を行うことができると言われています。それだけではなく、今まで人によって管理されていた製造工程や生産も、IoTの機能を持たせた機械が一部もしくは全工程の管理を代用できるようになるかもしれません。
さらには、一部の職人だけによる属人的経験・技術が必要だった製造も、データ集約ができればそのデータを活用し職人レベルの経験や技術を機械で代用することができるようになるでしょう。最近では製菓メーカーが社内に数人しかいない菓子職人の技術を投影した製造ロボットを導入し、話題になっていました。
IoT導入の課題
魅力が多い一方で、導入に向けて課題もあるようです。
2019年3月に発表された「日本企業のAI・IoTの導入状況」(日本経済研究センター)によると、IoT導入に後ろ向きな企業では、「導入後のビジネスモデルが不明確」との回答が多くみられました。データ解析が自社で具体的にどのような費用対効果を出せるのかイメージが難しいといった理由もあるようです。
そしてIoT導入するためには、まとまった準備コストが必要です。さらにはIoTを導入企画・導入後に運用ができる人材の確保が必要になります。
IoT導入には、導入する際の計画だけではなく、導入後の運用や、現場担当者への使用方法の説明、IoTツールに関係する従業員に対してのシステム操作・運用マニュアルの作成などが様々な準備が必要です。
このようなコスト・人材面がネックとなり、導入を見送るもしくは導入できない例も一定数あるようです。
まとめ
最近、ニュースで耳にする「IoT」って何?もたらすメリットとは
IoTとは、モノに通信機能を持たせ、インターネットに接続すること。
モノがインターネットに接続することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことが可能になります。IoTを導入することで、今までにはない新しいサービスや価値の創出が期待されています。
製造業におけるIoTは「IIoT(Industrial IoT)」と呼ばれ、その活用に注目が集まっています。
製造業で導入が進めば、あらゆる工場の機械や装置、またヒトの動きなどモノやコトの情報が集約され、そのデータをもとに分析・管理を行うことができます。現場の無駄・ムラをなくした生産の効率化が期待されています。
また生産管理も集約されたデータをもとに数字が算出されるため、在庫を抱えるリスクがなくなり、需要に合わせて必要とされている商品をベストなタイミングで作り出すことが可能になると考えられています。
日本では、どの業界もまだIoTの導入が始まったばかり。総務省のデータによると、有効回答を得た企業のうちIoTを導入している企業は、14.6%でした。
(出典:日本経済研究センター 「日本企業のAI・IoTの導入状況_6」)
同じ報告資料の中で、製造業の数字を見てみると、IoT導入企業は約16%。また導入検討中を含めると約50%の回答がありました。他の業界よりもIoT導入済もしくはIoT導入を前向きに検討していることがうかがえます。