日本の首都「東京」。
日本の経済の中心地でもあり、最先端のサービスや通信産業を軸にしているイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、江戸時代からの職人の技が受け継がれているエリアや、日本でも有数のモノづくりの町として知られている地域があります。
今回はそんな東京の製造業についてお伝えします。
東京の製造業の歴史
現在の東京は、高層ビルや集合住宅が立ち並び、高度に都市化されています。しかし明治中期から近年まで日本有数の近代的工業地帯として発展してきました。
中でも東京湾や多摩川など河川や海沿いに工場が発達。
多摩川の河川沿いにある太田区では、現在約4,300もの工場が集まり、「ものづくり」の町として知られています。ドラマ「下町ロケット」の舞台としても有名ですね。
また墨田区でも多彩なネットワークとスピード、技術対応力によって、ユーザー・消費者のニーズに応える都市型のモノづくりが展開されています。
なかでも隅田川沿いでは、江戸時代から長く続く歴史を持ちます。
江戸時代からの伝統の技を持つ職人が多く、繊細で優れたモノづくり技術を間近に感じられます。
(出典:大田区「大田区の工業」、墨田区「すみだの産業(特長・歴史)」)
東京の製造業の特徴
続けて現在の東京の製造業の特徴をご紹介します。
都内総生産に占める経済活動別の構成比では、平成19年度は8.5%と全国の20.6%(平成19年)に比べて12.1ポイント低くなっています。都内総生産に占める製造業の割合は平成8年の12.2%から減少の一途をたどり、平成19年度には8.5%まで減少しています。
一方で、サービス業の割合をみると製造業とは対照的に、緩やかな増加傾向が見られます。
(出典:東京都産業労働局「都内製造業の現状と概要(PDF)」)
つまり東京では、他県と比較して製造業が占める割合は低くいと言えるでしょう。さらに年々都内総生産に占める製造業の割合は低下し、同時に事業所数や従業者数等も減少の傾向が見られます。
しかしだからと言って東京の製造業のレベルが低いわけではありません。
東京の製造業は大田区・墨田区・足立区のほか多摩地域などを中心に発展しています。
これらの地域では、日本でも優れた技術を有する印刷や金属加工を行う中小企業が多く立地しています。また電気機械器具の製造を行う企業では、製品開発力が高いと評価されており、東京の強みの1つになっているようです。
(出典:東京都産業労働局「東京の産業」)
都内製造業の全国順位
東京都の製造業の事業所数は34,879所。全国の8.9%にあたる数です。その割合は、大阪に次いで全国2位を誇ります。
また従業員数についても358,247人で全国の4.6%のシェアを誇り、全国順位では7位に位置します。
他にも製造品出荷額等は10位、付加価値額は7位と、いずれも全国で上位に位置していることが分かります。
東京都の製造業の事業所数を従業者規模別にみると、9人以下の事業所が8割以上を占めています。
東京は小規模事業所の割合が全国の中でも多いのですが、小規模事業所だからこその多品種・小ロット生産・短納期を得意とし、顔や技術の見える距離・関係、集積の多様性などを活かし東京の製造業を発展させました。
まとめ
日本の首都「東京」の製造業について教えてください。
東京の製造業は、隅田川や多摩川、東京湾などの水域を中心にモノづくり産業が発展しました。そのため大田区・墨田区・足立区のほか多摩地域に多数の工場が立地しています。多種多様な業種が集積していますが、印刷や金属加工は全国でも指折りの技術を誇ります。
年々製造業に従事する従業員数や事業所は減少傾向にありますが、今もなお事業所数においては全国2位、従業員数では全国7位と全国の中でも上位に位置しています。
また東京の製造業は、従業者希望が9名以下の事業所が8割を占めているのも1つの特徴です。
一加工に特化して請け負っている工場が多く、大田区では「大田区に空から図面を投げ込むと、どんなものでも翌日には見事な製品になって出てくる」という言葉があるほど!その技術が高く評価されていることが分かります。
(出典:大田区「輝け!大田のまち工場」)