実は、富山県は医薬品製造で有名なのです。
富山県内には医薬品製造業者数が79社、製造所数は99ヵ所(平成28年1月現在)あります。
しかしなぜ、富山県にはこんなにも医薬品製造に関わる企業や機関が集約されているのでしょうか。
今回は富山県の製造業についてお伝えします。
(出典:一般社団法人 富山県薬業連合会「歴史と伝統」)
富山の医薬品製造の歴史
富山では江戸時代前期ごろから売薬を富山藩の中心産業にしていました。歴代の富山藩主は「反魂丹役所(はんごんたんやくしょ)」の設置や薬草鑑定・栽培研究、売薬商人育成に向けた教育の充実などに取り組み、今日の富山県薬業の礎を築くことになりました。
そのため、現在は全国有数の薬産地として、医薬品の地場中堅企業や大手メーカーの工場が立地しています。
このように歴史的背景もあり、富山県は全国でもトップの医薬品生産金額を誇ることとなりました。
(出典:厚生労働省「都道府県別医薬品生産金額」)
富山は医薬品以外の製造業も発展しています
ここまでの紹介で「富山県の製造業は医薬品製造だけ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実は、富山県には医薬品製造以外にも様々な分野の製造業が発展しているのです。
富山県は、北陸屈指の製造業が盛んな地域。
全国平均(24.7%)と比較して二次産業(製造業など)の比率が32.9%と高い県です。富山県で働く人の約4人に1人が製造業に従事しているとも言われています。
業種別製造品出荷額等は化学工業や金属製品製造業がその割合を多く占めます。中でも住宅用アルミサッシは、全国でもトップシェアを誇ります。
(出典:富山県「グラフで見る富山県」、経済産業省「富山県の地域経済分析(PDF)」)
環日本海交流の拠点となる富山
富山県が日本海側最大の工業集積地となった理由は、製造業の生産拠点を置くにあたり下記のような好条件が揃っているからです。
- 良質な水資源
- 安価な電力
- 勤勉な労働力
- 充実した交通インフラ
特に交通インフラにおいては、高速道路(北陸自動車道・東海北陸自動車道)、富山空港、国際拠点港湾伏木富山港などあらゆる交通網が充実。整備・拡充にも力を入れています。さらに北陸新幹線という「人」を運ぶ交通インフラの利用が盛んになることでさらに利便性が高まることが期待されています。
まとめ
なぜ富山県は医薬品製造業が有名なのですか?
富山では江戸時代より売薬を富山藩財政の重要な柱としていました。移り変わる歴史の中でも歴代の富山藩主達は富山県の製薬技術やノウハウを受け継ぎ、教育の充実などに取り組みました。
その結果、富山県には医薬品の地場中堅企業や大手メーカーの工場が多く立地し、日本屈指の医薬品製造の集約地となりました。
さらに富山県は医薬品製造だけではなく、日本海トップの工業県と言われるほど二次産業の比率が他県と比較し高い県です。製造業が発達する上で欠かせない充実した交通インフラはもちろん、工場を設置するにあたり、良質な水資源や安価な電力などの好条件が揃った地域です。