今回は職場でハラスメント被害に遭った場合の対処法を紹介します。
1980年代後半からセクシャルハラスメントという言葉が一般的になり、近年はパワハラ、マタハラ、モラハラなど様々な種類のハラスメントが知られるようになりました。
ハラスメントは、他人事ではなく身近でも起こりうる可能性があります。
同じ職場のメンバーと共に気持ちよく仕事をするためにも、ハラスメントについて理解・知識を深めておきましょう。
ハラスメントとは?
「ハラスメント」とは他者に対する発言・行動などが本人の意図には関係なく、下記のような状態を相手に与えることを言います。
- 相手を不快にさせる
- 尊厳を傷つける
- 不利益を与える
- 脅威を与える
ハラスメントの種類はいくつかありますが、代表的なものをご紹介します。
セクシュアル・ハラスメント
セクシュアル・ハラスメントとは、相手の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を与えること。本人が意図するしないにかかわらず、相手が不快に思い、相手が自身の尊厳を傷つけられたと感じるような性的発言・行動が該当します。
パワー・ハラスメント
パワー・ハラスメントとは、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を利用して、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化する行為のことを言います。
物を投げつける行為、皆の前でささいなミスを大きな声で叱責する行為、 1人ではできない量の仕事を押しつけるなどの行為を指します。
アルコール・ハラスメント
飲酒やイッキ飲みの強要、意図的な酔いつぶし、酔ったうえでの迷惑な発言・行動を指します。
マタニティ・ハラスメント
マタニティ・ハラスメントとは、妊娠・出産・育児休業・介護休業などを理由に解雇などの不利益な取扱いを行う行為のことを言います。
(出典:厚生労働省「職場でつらい思いしてませんか?」)
ハラスメントかも?ハラスメントの被害状況
日本労働組合総連合会が全国の20歳~59歳の有職男女1,000名を対象にした調査(2019年5月公開)によると、「職場でハラスメントを受けたことがある人」は全体の38%でした。
ハラスメント被害を受けた人の中でも、下記のような仕事上の優位な立場を利用したパワーハラスメントに該当しうる行為を受けたという人が一番割合をしめているようです。
- 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃:41.1%
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求:25.9%
- 私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害:22.7%
また上司・先輩からだけではなく、ハラスメント被害に遭った人の中には、「人間関係からの切り離し」(隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し)といった同僚からのハラスメントを受けたという人も全体の19.4%に上りました。
そしてハラスメントを受けた人の54%が下記のように、仕事に影響が出たり退職・転職にまで至る被害を受けたと回答しています。
- 仕事のモチベーションを失った:54%
- 心身不調:22%
- 退職・転職:19%
(出典:日本労働組合「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」)
ハラスメントの被害に遭った(遭っているかもと感じた)時の対処方
ハラスメントの被害に遭った(遭っているかもと感じた)時は、しっかりと対応をすることが大切です。
ハラスメントを受けた際の対応策はいくつかあります。
相手に不快・苦痛の感情の旨を伝える
ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。不快な思いや苦痛を強いられる旨を相手に伝えることが大切です。
会社の相談窓口を活用する
ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題です。会社の人事労務課や労働組合に相談してみる方法もあります。会社によってはハラスメントなどの専門相談窓口やダイアルを設けているところもありますよ。
もちろん、当社でも就業中に困ったことがあれば、遠慮なく会社までご相談くださいね。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談する
会社に相談しても対応してもらえない場合や、会社の人や機関に相談しづらいという方は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談してみましょう。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への相談は匿名でも大丈夫。プライバシーをしっかりと厳守してもらえるため、安心して相談することができます。
(出典:厚生労働省「職場でつらい思いしてませんか?」)
まとめ
職場でハラスメントに遭ったらどうする?対処法は?
ハラスメント被害に遭った時、我慢したり、無視したりすると事態をさらに悪化させてしまう可能性があります。そのため、下記のような解決へ向けた行動を起こすことが大切です。
- 相手に不快・苦痛の旨を伝える
- 会社の相談窓口を活用する
- 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談する